りすなーの雑文

りすなが書いた文が置かれています。twitter:@mioni_listener

データからみるプロセカ収録曲の傾向とミリオン曲の動向。

 

この記事はボカロリスナーアドベントカレンダー2021の参加作です。

 

会場はこちらから

adventar.org

 

昨日の記事は月子さんのフリート感覚CD紹介です。

note.com

ツイッターのフリート機能で連載していたCD紹介を記事化したものですが、文量は短めでもしっかり魅力が伝わる素晴らしい内容でした。こちらもどうぞ。

 

 

はじめに

初めましての方は初めまして!みおにと申します。(ツイッターではりすなです。)

 

サービスを開始して一年。プロセカの存在はすっかりボカロ界隈になじみ、セルランで一位を獲得するなど、10代に人気のあるコンテンツとして評価も安定してきたのではないでしょうか。

 

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収録曲数も11/29時点で140曲を数え、そろそろその傾向だとか、影響だとかを評価できるようになり始めた段階かな、という事でいろいろデータを集めてみました。

 

 

 

1.ズバリ収録されるのに必要な再生数は?

 

こちらの図をご覧ください。*1

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収録時の再生数(横軸は投稿年・縦軸は再生数(対数メモリ))

ニコニコ動画での再生数。公募曲と書き下ろし曲、ニコニコ未投稿曲は抜いています。

 

対象となる曲の数は89曲、そのうち74曲(83.1%)が伝説入り曲です。

収録時伝説入りしていなかったのは以下の曲たちです。

ぼうけんのしょがきえました! 991,915
Gimme×Gimme 981,430
トラフィック・ジャム 967,979
ドクター=ファンクビート 895,743
幽霊東京 774,805
トキヲ・ファンカ 748,171
悪魔の踊り方 745,598
マシュマリー 479,138
オルターエゴ 434,394
ブレス・ユア・ブレス 322,944
on the rocks 220,146
愛されなくても君がいる 205,844
ネクストネスト 174,083
初音天地開闢神話 129,687
青く駆けろ! 26,648

 

このうち、再生数上位4曲は伝説入り間近であり、ブレス・ユア・ブレス愛されなくても君がいるネクストネスト初音天地開闢神話はマジカルミライのテーマソング、青く駆けろはポカリスウェットコラボ曲です。

さらに、オルターエゴマシュマリー悪魔の踊り方YouTubeでそれぞれ400万再生・500万再生・1000万再生*2されている、トキヲ・ファンカは踊ってみたのアンセム幽霊東京は曲を書きおろしたayase(YOASOBI)の代表曲*3であるなどそれぞれ特別な事情があります。

 

そこから考えるに基本的には100万再生が収録ラインと考えてよいでしょう。さらにぼんやりグラフを見てもらえば何となく最近の曲の方が再生数が少なくても収録されている傾向が見て取れます。

これ自体は収録されるまでの時間が短いことから当然なんですが、2010年以前の曲は200万再生以上ないと収録が厳しい、逆にここ3年くらいの曲なら100万再生なくてもYouTubeの再生数次第で収録される可能性がありそう。

 

2.多く収録されている年は?

投稿年ごとの再生数ラインの話をしたので次は(公募曲・書き下ろし曲を除く)投稿年ごとの収録曲数を見てみましょう。

 

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投稿年ですが、基本一番再生数が多いバージョンに合わせています*4

最多は2014年15曲。最少は2007年・2008年・2015年3曲です。

2007年はみくみくにしてあげる、メルト、ミラクルペイントの三曲

2008年は初音ミクの消失、ワールドイズマイン、炉心融解の三曲

2015年に至ってはドクター=ファンクビート、Hand in Hand 、Hello,World!と一曲ボカロ曲じゃないのが混じっています

 

2015年は例外として、2020,21は書き下ろし曲があることを考慮すると近年になるほど収録曲は増えている傾向があり、若年層を意識しているのかなー、という感じがしますね......

 

 

ちなみに、年ごとのオリジナル曲ミリオン数は以下のようになっています。

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これを見ると2007,2008,2015年のミリオン曲数は確かに少なく、収録曲が妥当かもしれません。逆に2012年の収録曲がもう少しあってもいいのかも...??

 

3.多くの曲が収録されているボカロPは?

 

書き下ろし含め、ボカロPの中で最も多くプロセカに収録されているボカロPは

ギガさんの6曲です。書き下ろし曲では「ワーワーワールド(Mitchie Mさんとの共作)」「Ready Steady」の二曲、既存曲では「Gimme×Gimme(八王子Pとの共作)」「drop pop candy」「劣等上等」「ヒビカセ」の四曲が収録。少々意外かもしれませんが、テーマソング書き下ろしビビバスへの貢献度から考えると納得の収録数です。

 

ちなみに既存曲4曲というのもwowakaさんと同率1位であり、かなりの存在感です。

 

それ以外のボカロPは多くて4曲(cosMo@暴走P・Deco*27さん・じんさん)、普通は2曲です。(3曲収録は敬称略で40mP,ayase(YOASOBI),Junky,kemu,Neru,OSTER project,ryo(supercell),すりぃ といったプロセカに書き下ろしした人たちでした)

 

基本的にはそのPが持つ曲の再生数一位の曲が収録されますが、マジカルミライのテーマソングは問答無用で収録されますし、YouTubeで再生数がそのPの中で1位の曲や「トキヲ・ファンカ」のように他界隈でのアンセム、長く活躍しているボカロPは近年の作品も収録されがちです。

 

4.実際、収録されると曲は伸びるの?

 

めっちゃ伸びます(断言)

 

(追加後一か月間の再生数)/(追加前一か月の再生数)

という数式の元、前後一か月の再生数データが取れた曲*5の伸び率は以下の図に示すとおりでした。

 

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縦軸が伸び率(対数)。横軸が収録日

 

この計算式でマイナスになったのはわずか4曲。平均では226%、中央値180%という伸びが観測されており、特に「ドクター=ファンクビート」は1283%といいう驚異の伸びを見せました。

プロセカは公式がYouTubeのみ動画を投稿しているので、おそらくニコニコ動画よりYouTubeでより大きな伸びを見せているんじゃないかとも思うところです。やはりプロセカは、過去の動画の再注目だったり、新進気鋭のPのピックアップに大きく貢献していそうです。

 

5.ボカロキャラごとの収録数。

 

この章は最後まで通して読んでください!

 

早速行きましょう。

 

 

 

使用ボーカロイド 曲数 シェア
初音ミク 82 58.99%
鏡音リン 24 17.27%
鏡音レン 13 9.35%
巡音ルカ 11 7.91%
GUMI 9 6.47%
KAITO 5 3.60%
MEIKO 5 3.60%
vflower 5 3.60%
IA 5 3.60%
まふまふloid 2 1.44%
藤原基央loid 2 1.44%
歌愛ユキ 1 0.72%
VY2 1 0.72%
音街ウナ 1 0.72%
ikuraloid 1 0.72%
みきとPloid 1 0.72%
ろんloid 1 0.72%

 

まふまふloid とかikuraloid藤原基央loidなる面妖なものがいますが気にしないでください。こうしてみると、間にGUMIが挟まる意外には、基本、クリプトン組のボカロキャラ達が上位に来ています

ですが、これをソロ曲限定にしてみると...

 

使用ボーカロイド 曲数 シェア
初音ミク 70 60.87%
鏡音リン 9 7.83%
GUMI 7 6.09%
鏡音レン 6 5.22%
vflower 5 4.35%
巡音ルカ 5 4.35%
IA 4 3.48%
まふまふloid 2 1.74%
ikuraloid 1 0.87%
KAITO 1 0.87%
MEIKO 1 0.87%
VY2 1 0.87%
歌愛ユキ 1 0.87%
藤原基央loid 1 0.87%
ろんloid 1 0.87%
音街ウナ 0 0.00%
みきとPloid 0 0.00%
 

と、KAITO,MEIKO,巡音ルカは順位を落としてしまいます。つまり大人組はデュエットや合唱曲が多いという事でしょう。特に、KAITO,MEIKOに関してはソロは一曲でかなり少なくも感じられます。

 

しかし

 

ここで実際のVOCALOID伝説入り曲(ニコニコ動画100万再生以上の曲)のシェアを見てみましょう。先ほどの項目1を見ると、やはりミリオン曲からの収録が多いので、比較することで本当に多いのか、少ないのかを見ることができます。

 

 

VOCALOID 曲数 割合
初音ミク 375 55.47%
GUMI 101 14.94%
鏡音リン 94 13.91%
鏡音レン 65 9.62%
IA 42 6.21%
巡音ルカ 41 6.07%
v_flower 30 4.44%
KAITO 19 2.81%
結月ゆかり 12 1.78%
MEIKO 11 1.63%
神威がくぽ 9 1.33%
音街ウナ 6 0.89%
重音テト 4 0.59%
MAYU 4 0.59%
Lily 4 0.59%
可不 3 0.44%
歌愛ユキ 3 0.44%
ONE 2 0.30%
VY1 2 0.30%
VY2 2 0.30%
鳴花ミコト 1 0.15%
紲星あかり 1 0.15%
闇音レンリ 1 0.15%
Fukase 1 0.15%
氷山キヨテル 1 0.15%
猫村いろは 1 0.15%
開発コードmiki 1 0.15%
心華 1 0.15%
 

 

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ソロ限定とすると、

VOCALOID 曲数 割合
初音ミク 328 55.59%
GUMI 76 12.88%
鏡音リン 39 6.61%
IA 35 5.93%
v_flower 28 4.75%
鏡音レン 23 3.90%
巡音ルカ 17 2.88%
結月ゆかり 7 1.19%
KAITO 6 1.02%
Lily 4 0.68%
神威がくぽ 3 0.51%
音街ウナ 3 0.51%
重音テト 3 0.51%
可不 3 0.51%
MEIKO 2 0.34%
歌愛ユキ 2 0.34%
MAYU 1 0.17%
ONE 1 0.17%
VY1 1 0.17%
VY2 1 0.17%
鳴花ミコト 1 0.17%
紲星あかり 1 0.17%
闇音レンリ 1 0.17%
Fukase 1 0.17%
氷山キヨテル 1 0.17%
猫村いろは 1 0.17%
開発コードmiki 1 0.17%
 

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となっており、MEIKO,巡音ルカはそのシェア(ミリオン・ソロともに)の観点から行くと割と妥当という事が見て取れます。KAITOはソロ曲だけの観点からではシェアをわずかに落としていますが、伝説入り曲からの割合で行けば上げています。

実際、再生数的にもボカロP内順位でもあまり高くない「on the rock」が収録されているなど、大人組への配慮が見てとることができ、「クリプトン色」が良く出ています。

基本的に他社ボカロはその割合を落としています。Deco*27さんの「モザイクロール」有機酸さんの「lili.」キノシタさんの「はやくそれになりたい」などそのPの曲で最も再生数が多い他社ボカロ曲ではなく、再生数が少なくてもクリプトンキャラ曲を採用する傾向があることも、要因となっているでしょう。

ちなみに複数ミリオン持ちにもかかわらず収録されていないキャラは「結月ゆかり(12)」「重音テト(3)」「可不(2)」などがいます。権利関係が難しいのかもしれませんが、重音テトについてはクリプトン半公式でもあるので、登場して欲しいですね...。

 

5.1 ボカロキャラごとミリオン曲。その変遷

ここではボカロオリジナルミリオン曲*6*7についてもう少し詳しく見ていきます。

年ごとのミリオン曲のシェアはこんな感じになっています。

 

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これだけだとわかりにくいのでテーブルも載せます。

ボカロキャラ 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
初音ミク 16 20 35 45 33 36 27 22 29 27 35 27 14 5 4
GUMI 0 0 4 8 13 26 21 13 1 5 6 2 0 1 1
鏡音リン 0 9 6 5 12 14 12 8 2 4 9 9 1 3 0
鏡音レン 0 8 4 1 8 10 8 3 3 4 3 7 2 3 1
IA 0 0 0 0 1 12 8 6 5 4 5 0 0 1 0
巡音ルカ 0 0 14 4 6 4 4 3 2 2 2 0 0 0 0
v_flower 0 0 0 0 0 0 0 2 1 5 7 6 2 6 1
KAITO 1 4 3 0 3 2 3 0 1 1 0 0 0 0 1
結月ゆかり 0 0 0 0 0 1 1 0 3 3 3 1 0 0 0
MEIKO 1 2 1 0 1 2 2 1 0 1 0 0 0 0 0
神威がくぽ 0 1 2 1 0 2 2 0 0 1 0 0 0 0 0
音街ウナ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 4 0 0 0 0
重音テト 0 1 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 0 0 0
MAYU 0 0 0 0 0 1 2 0 0 1 0 0 0 0 0
Lily 0 0 0 1 0 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0
可不 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3
歌愛ユキ 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0
ONE 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0
VY1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0
VY2 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0
鳴花ミコト 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0
紲星あかり 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0
闇音レンリ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
Fukase 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
氷山キヨテル 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
猫村いろは 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
心華 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0
開発コードmiki 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0
 

 

初音ミクはほぼ毎年30%以上のシェアを誇り、圧倒的安定感がありますね...やはりボカロキャラ界の盟主なのでしょう。

リンレンも比較的安定的に毎年ミリオンを輩出していますが、実はソロでのミリオンはそれほど多くありません。これは巡音ルカKAITOMEIKOなどほかのクリプトンボカロにも共通した悩みであり、概ねソロ限定にすると曲数が1/3になってしまう特徴があります。MEIKOは特にソロ限定では2曲しかなくなってしまいます。

GUMI2012~14年に大きく流行ったものの、以降は安定していません。ただ、愛用するボカロPは依然多いので存在感は十分あります。

IA2013~15年にピークがありましたが、以降はあまりミリオン曲を輩出で来ていません。今年、CeVIO AI版が登場し、最新のAI合成音声の仲間入りを果たしました。巻き返しに期待です。

v flower2016年ごろから存在感を増し始め、2020年にはなんとあの初音ミクを抑えミリオン曲数1位です。(ただし90万再生台には多くの初音ミク曲があるのでそのうち逆転します。)先達たちを見ると、流行してから5年が正念場になりそうなので、今年以降の活躍を見守りたいところです。

可不は2021年に発売され、瞬く間にミリオン3曲を輩出しました。ボカコレ印象に残るくらい多くの曲を見たので、今後に期待できそうです。

 

ちなみにミリオン曲を持っているボカロキャラで、唯一ソロでのミリオンを持っていないのは心華*8でした。マイナーボカロにも幸あれ......

 

6.これからプロセカに収録されるとしたら...?

プロセカ収録されるラインとして、

・基本的にはニコニコで100万再生

・最近の曲ならYouTube再生数次第でニコニコで70万再生以上

・そのPの中で再生数上位である曲

が挙げられます。この条件に合致する曲はとても多いのでその一部を紹介します。

 

1.メリュー

ナブナさんのボカロ曲で再生数3位の曲。2015年のボカロ曲の収録数が少ないので、もしかしたらナブナさんの書き下ろし曲とか来ることがあれば収録されるかも。

 

2.おちゃめ機能

重音テト再生数1位。重音テトの曲が追加されるとしたら、まずこの曲が来るのでは?

 

3.グラーヴェ

nikiさん再生数1位。ダンスロボットダンスが収録されているので他ゲーム書き下ろしでもおそらく収録できそう。(あとLily曲は未だに一曲も追加されていないのでもしかしたら権利的に難しいのかもしれないことを考慮)

 

4.なりすましゲンガー

KulfiQさん再生数1位。ミクリンという珍しいデュエットで、ミリオン曲に比して収録曲が少ない2012年の曲。レオニにいかがでしょう。

 

5.ココロ

トラボルタさんの再生数1位。リンの初期の名曲。2008年の曲からの収録曲は少ないので、収録されてもよさそう。

 

6.番凩

仕事してPの再生数1位。大人組デュエットで数少ないミリオン曲。大人組はやはり収録数が少ないので収録されそう。あと2008年の曲。

 

7.脳内革命ガール

MARETUさん再生5位...なんですがMARETUさんの曲はきわどい曲が多いので収録されるとしたらこちらかなーと。MARETUさんはかなりミリオン曲を持ってるのでそのうち何かしらは収録されるのではの曲収録されるのでは?

 

8.絶え間なく藍色

獅子志司さん再生数1位。YouTubeでは168万再生でセルフカバー364万再生。Youtubeで一番伸びているの永遠甚だしいのセルフカバーなんですが、ニコニコでは14万再生に留まっているのでこちらが収録されるかなと。ビビバスに合いそう。

 

7.終わりに

いかがでしたか?

実際データを集めてまとめてみると意外な曲が収録されていたりしました。

この記事を書くためにデータを色々集めてきたんですが、ミリオン曲のデータを集めるのがなかなか厳しかったです。

というのも、広義ボカロのデータをまとめてくれているサイトがなく、自分でニコニコから集めてくる他無かったのです。かつてはぼからんまとめさんというサイトがあって、ちゃんとしたデータ形式でまとめてくれていたんですが...。

今回の記事を書くのに、プロセカwiki( https://pjsekai.com/ )ニコニコチャートさん(http://www.nicochart.jp/)を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

 

みおに

twitter: りすな (@mioni_listener) | Twitter

*1:基本的に一番再生数が多いバージョンの再生数を採用。例)初音ミクの消失はlongver.を採用

*2:これはキタニタツヤバージョンですが...

*3:再生数一位はニコニコyoutubeともにラストリゾートなんですが...歌詞が過激版夜に駆けるなのでちょっと厳しかったんでしょうか

*4:炉心融解は連続性を考えて消される前を参照しています

*5:ネクストネストなど一部はデータがどこにも無かったんです...

*6:ニコニコ動画VOCALOIDタグが付いている100万生成の曲で、オリジナル曲であるものが集計対象

*7:集計は2021年12月1日

*8:ぬゆりさんの「ディカディズム」のみがミリオンを達成している

ボカコレ2021秋を全曲完走した感想

 

はじめに:ボカコレ2021秋、お疲れ様でした~~!!!!

 

作品を投稿したボカロPはじめクリエイターの皆様ニコニコ動画の運営さん、そして作品を聴きまくったリスナー同志とこの言葉を言い合いたい。素敵なお祭りでしたね...。

 

この記事は、この4日間に投稿されたボカコレ参加曲(ルーキー/TOP100)を全部(多分)聴いたリスナーによる雑感集です。

深夜に勢いで書いているので、読みにくいところなど多々あると思いますが、笑って流してやってください。

 

この記事はこんな人におすすめ!

  • 他人視点のボカコレが気になる人
  • 全曲チェックなんてことする奇人の生態を鑑賞したい人
  • 次回のボカコレに向けて戦略を練るためにリスナー視点が気になるクリエイター

 

感想1:「曲が...多い......!!!」

 

曲がたくさんでした(語彙力)。

 

僕は検索ワードを「ボカコレ2021秋ルーキー OR ボカコレ2021秋top100 OR ボカコレ2021秋remix -歌ってみた」に設定して曲漁りした(理由は後述)んですが、この条件に引っかかるボカコレ集計期間に投稿された動画は3000件に到達したようです。噓でしょ...

f:id:mioni_listener:20211018044227p:plain

?????????

常時にVOCALOIDタグ(など)で投稿される動画数は一日大体100~200件くらいです。しかもその中にはニコカラや歌ってみた、MMDなどが紛れ込むので、実際のところオリジナル曲やリミックス、カバー曲はいくらも無かったりします。

 

僕が尊敬している全曲チェックリスナーで、今回のボカコレでも超スピードで全曲チェックを終えていたSTERN( STERN@ついウナ派 (@STERN_jp) | Twitter )さん曰く、

ボカコレは「検索結果≒曲数」で(普段はニコカラ等で密度が薄くて「検索結果≠曲数」となる)体感で、DAY1だけで「一ヶ月以上」相当になります。 一応平均で32曲/日もチェックしてないと思う

https://twitter.com/STERN_jp/status/1448896514995023873 より一部引用

とのことなので単純計算で93日強分の新曲がこの4日間で投稿されていたことになります。*1 ヤバいですね。

 

しかも、どれもボカロPたちが勝負の為に作ってきた力作ばかり。いい曲が多くてうれしい悲鳴でした

 

前回のボカコレでは1500件程度で、「前回までは増えるだろう」という見込みの元「今回の参加曲数は大体2000件、多くて2500件」と予想を立てていました。

が、実際は御覧のザマです。次のボカコレはどれくらいになるんでしょうね?4000件で収まってくれればいいんですが(フラグ)

 

 

感想2:「0:00から抜け出せない...」

この四日間で一番新曲密度が高かった時間帯は間違いなく0時0分でしょう。特に前半二日の0:00はエグかった。10ページくらいめくっても時計の長針がビタも動かない。

曲を聴いても聴いても0:01にたどり着く気配がない......精神と時の部屋(ボカロver.)というべき異常な空間が出来上がっていました。

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ズラッ..........と並ぶ0:00投稿の新曲たち。これでもほんの一部

さらに恐ろしいのは、0:00に予約投稿された曲たちは何というかどれも

自信作を満を持して投稿します!!!」という「「「「」」」」を強く感じる力作ばかり*2ということ。つい聴き入ってしまい、進捗が遅々として生まれないという沼仕様にもなっていました。

おそらく生半可な気持ちでボカコレ全曲チェックを始めると14日の0時0分(500曲くらい)を抜けることなく挫折することになると思います。

僕もこんな具合でした。いい曲がたくさん聴けるのは当然うれしいんですが、「まだ1分も進んでいないのにこの間にもどんどん新曲が積みあがっていっている...!!」といった焦りが募ります。辛かった。

 

感想3:「ルーキーPってこんないたんだ...」

今回のボカコレはルーキーとそれ以外で投稿期間がずれていまして、14日はボカコレルーキーのみの投稿でした。なので14日の投稿数は少なめで、15日が本番かなーとか考えていたんです。

 

いやいや、若い人が多いボカロ界隈とはいえ、いくらなんだってルーキーだけで1000超えるなんてそんな馬鹿な話が

 

 

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約1500とかなんかの間違いだろ!?

 

ちなみに「ボカコレ2021秋ルーキー」タグが付いている集計期間内に投稿された曲は2000件を超えます。ボカコレボカロカテゴリ全体の2/3はルーキーの曲だったことになりますね。

なかには2作とか3作とかボカコレに投稿する方もいらっしゃいますが、ほとんどの場合一人一作なので、ルーキーPは2000人以上いると。ホンマか?

 

 

とか書いていたわけですが、よくよく考えてみると普段から新曲チェックしているとVOCALOID処女作タグついている曲意外と多いなと。

 

調べてみたら去年一年間では1700件弱。なるほど確かにルーキーは多い。

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意外と多い。

逆に言うならボカロPが2年以上活動を継続する率が低いとも言えてしまうので、一概にルーキー率が高いことはいいこととも言い難い気もします。が、だからこそ世代交代が正常になされてボカコレがこれだけ盛り上がるくらいの人気を維持できているのかもしれませんね。

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14日投稿曲の圧倒的物量を前に完全敗北したボカロリスナーたちin discord

 

感想4:「ちゃんと感想を付けて曲ツイートすることのススメ」

dig活動って大抵新曲チェックだけで完結せず、ツイッターや身内で曲紹介を行うところまでがワンセットなことが多いですよね。僕もいい新曲を見つけたら必ず「いい曲見つけたよ」という報告をするようにしています。

いいと思う曲を見つけてそれを共有出来たら嬉しいし、僕のツイートが作者のモチベになって新曲作ってくれたら最高だし、あまりきれいな感情では無いかもしれませんが「俺がこの曲を見つけたんだぞ!!!」みたいな謎のマウント的な意味もあったりします。(人の作品でマウントを取るな)

ツイッターにはツイートごとに「このツイートは何回画面に表示されました」みたいなデータを見られる「アナリティクス」という機能があり、ここの「リンクのクリック数」を見ると何人の人が僕のツイートから再生してくれたかがわかります。

 

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アナリティクスの画面。どうでもいいことなんですが、ここをみて「リンクのクリック数」が0で「プロフィールのクリック数」が多いと「俺のことはどうでもいいから曲を聴け!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」という気持ちになります。

リンクのクリック数が1とか2とかある*3ととても嬉しい気持ちになるので、ボカコレ期間中はモチベーション維持も兼ねて結構頻繁に確認してました。*4

 

で、このアナリティクスを見て、当たり前なんですが、曲リンクの他に感想を付けるとクリック数が伸びることに気付きました。

最初リンクのみで投稿したときは0だったクリック数が、あとから感想をリプライにつけたりすると1になってたりする。

それに感想がついていると後から見直すときに「ああ、この曲か!!!」ってなりやすいのでライブラリ管理的な意味でもいい。

 

 

曲を推すときには書こう!感想!

 

 

などと簡単に言ってますが、感想を書くのって大変です。「この誉め言葉さっきも使ったな...」とか「この曲○○ロックてジャンルで紹介しちゃったけど違ったらどうしよう...」とか「△△さんをリスペクトしてそう...って感想は失礼かな...」とか考えだしたら一生かかっても感想書けないし、そもそも時間がかかるしで結局何も書かないままツイートしちゃうことは結構あるんですよね。難しい。

でも今回で効果は実感できたので、できれば今後も感想付きでツイートしていきたい。僕が感想さぼってたら「なんか言えボケナス」と蹴とばしてあげてください。

 

あと、結構雑な、例えば「めっちゃいい」みたいな感想でも効果はあるっぽいので本当に困った時は童心(?)に帰ることをお勧めします。

 

感想5:「推しPが伸びる喜び」

 

前回のボカコレで投稿されていた「ロータスイーター」でファンになって、それから追ってた青栗鼠さん

青栗鼠 (@Todoroki0874) | Twitter

今回のボカコレでは「エフェメラリズム」でルーキー10位TOP100で15位と上位にランクインする伸びを見ることができました。

 

いや~。

 

うれしい...

 

お前は青栗鼠さんの何なんだよ」という声が聴こえてきますが、オタクは得てしてそういう感情を持ちがちなので許してほしい。。。

新曲もめっちゃ良かった...音ゲーソング的なリッチな音作りとジャンルの融合に加えて、ビートの速さに比べて詰めすぎていない歌メロのクールな印象と歌愛ユキの声が合っていて良い。あえて宙ぶらりん感のあるコードを連打してきて次で着地させるかと思えばそのまま不安定で続けるとことか好き。

残念ながら、新曲漁りに忙しかったので推し事あまりできなかったのが心残り。2回ツイッターに放流してマイリスしていいねしてニコ二広告を投げることくらいしかできなかった..

全曲チェックの辛いところとして、どうしても順番に聴かないといけないし、順番飛ばしして聴きに行く余裕も、推しの情報を調べる時間もないこと。

推しの伸びに一番貢献する方法は投稿直後マイリスしていいねしてニコ二広告を投げてツイッターなど持てるすべての手段を使って拡散する事*5なんですが、それが厳しい。とてもつらい。

 

 

感想6:「ネタ曲とニコニコ」

ルーキー2位3位がネタ曲だったり歌ってみた1位ネタってみただったりREMIXランキング1位が音MADだったりと、今回は前回前々回のボカコレと比べてネタ曲が元気でしたね。

 

それに触発されてか最終日とか結構いろいろなネタ曲が出てきてたりとか、歌ってみた1位だった秋の未確認生物の子牛さん本人の歌ってみたのボカロカバー

というものにまで派生していく、創作の連鎖が発生していたのもとても面白かったです。

週刊歌ってみたランキングの方(歌らん(平凡な一般人) (@weekly_utaran) | Twitter)が、以前週刊ニコニコインフォに出演されていた時におっしゃていた、今はネタが求められているというのは本当だったなぁとか思いました。さすが普段から界隈を追ってる方の分析力は凄い。

残念ながら自分はニコニコの文化の中で育ったわけじゃないので、こう、いまいち乗り切れていないところあるというのは正直なところではあるんですが、ボカコレはニコニコのイベントなのでニコニコらしいのはいいことです。ボカロだけニコニコ文化から遊離してしまっても寂しいですし、せっかくニコニコにいるんだからニコニコの他界隈と交流があった方が楽しいでしょうから。

そもそもボカコレという場を用意してくれるのはニコニコくらいじゃないでしょうか。youtubeでは少なくともボカコレみたいなイベント開いてくれないじゃないかなぁと思います。開いてくれたとしてあくまでクリエイターにほとんどのスポットライトが当たって、その周りの二次創作とかボカロの存在そのもののお祭りにはならなさそう。(これは個人の印象ですので、実際にYouTubeがボカコレみたいなイベント開いたときには手のひらを反して「やっぱ時代はYouTubeっしょ!!!YouTube、サイコ~!!!!」って言いだすと思います。)

それがYouTubeのいいところでもあるとも思う *6 ので使い分けなのでしょう。ニコニコが田舎の故郷で、YouTubeが都会で勝負の場所と言いましょうか。そんな感じの棲み分けになればいいなぁとか思ってます。

 

感想7:「ぎりぎりの戦い」

ボカコレ2021秋には4日目19時という明確なタイムリミットがありました。

そう。ランキング集計期限です。僕はこの時間までに全曲チェックしたいという固い決意のもと曲を聴きまくっていました。1日目の0時からタイムリミットまではわずか5,460分。この時間で3000曲を聴く必要があります。しかも一日目と二日目は平日。おしまいかな??

 

実は検索ワードを「ボカコレ2021秋ルーキー OR ボカコレ2021秋top100 OR ボカコレ2021秋remix -歌ってみた」に設定してボカコレに参加していない(集計対象でない)曲を省いたのはこのためです*7

あくまでランキングの結果にちゃんと反映させたいという事が優先だったので、少しでも効率よく聴くために、あえてこう設定しました。

 

そして私は頑張りました。隙間時間を見つけては曲を聴き、イヤホン*8差しっぱなしの耳が痛くなろうとも曲を聴き...

 

 

そして私はついに...

 

 

 

 

間に合いませんでした。

 

 

  終
制作・著作
━━━━━
 ⓃⒽⓀ

 

 

 

いやいや。無理だって。

結局全曲チェックを終えたのは14分遅れの19:14

かなりくたくただったのを覚えています。

だんだん感性が死んできてどれがいい曲か分からなくなってくるし、タイムリミットを意識しながらちゃんと聴くのはむずかしいし、耳は痛いし。。。

 

...

 

多くの方が思ったことでしょう。「それ、ちゃんと曲聴けてないんじゃない?」と。

 

正直に言います。「はい、そうです。

 

ボカロPの方々は力作をたくさん投稿してくださいましたし、本当は私もしっかり応えるべきなんでしょう。しかし、時間がない

 

もちろんこれは僕が雑魚でクズなだけで、ちゃんと聴きながら期限内に完走した人も、期限内に聴くことをあきらめて全曲ちゃんと聴くことに専念した人もいるでしょう。

 

僕も普段なら後者のスタンスで、ミク誕の曲も数日掛けて聴きます。しかしボカコレには最終結果がある。この結果を気にするボカロPの方も多いでしょうから...僕はこの期限を意識して聴くことを選択しました。

 

普段、僕はどんな曲でも最低15秒は聴いて判断しているのですが、ボカコレの時には5秒で再生を止めてしまうこともざらでした。しかもそこまでしてもタイムリミットに間に合わなかった。もちろん、おすすめした曲は最後までちゃんと聴いています。が、そうしてちゃんと聴くほど新曲チェックに充てられる時間は減るというジレンマ。

 

ニコニコ運営さん。次回のボカコレは「投稿期間」と「集計期間」が分けてほしいです。できる限り全曲ちゃんと聴きたいし、ちゃんとランキングにも貢献したいので、せめて1日だけでも聴くのに専念する時間が欲しいです。やっぱりちゃんとクリエイターの熱意に応えたい...........

 

 

感想8:「ボカコレの賢い楽しみ方(全曲チェックの楽しさとは)」

 

ボカコレに正しい楽しみ方はありませんが、少なくともリスナーとして参加するならば「他人のおすすめを聴く」と「ランキングを追う」のが賢い楽しみ方だと思います。それで十分すぎるくらい良曲に出会えます。

 

全曲チェックなんてことは酔狂(とドM)に任せておけばいいし、正直苦行に近いのでお勧めはしません。「全曲チェックしないのは甘え」なんてことを(冗談以外で)言い出す全曲チェッカーはいないんじゃないかな...(いたとしたら全力で諭す)

 

それでも、誰よりも早くいい曲をみつけられるし、誰よりも早くまだ世間に見つかっていないボカロPのファンになれますし、そのPが伸びた時最高にうれしくなれるし、楽しみはあります

少しでも魅力を感じたそこのあなた。

 

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おわりに:「次のボカコレも楽しみって話」

 

最後ちょっと暗い話をしちゃいましたが、ボカコレとても楽しかった!!!

次回のボカコレはどんなになるんでしょうね。そろそろボカコレというお祭りの、自分なりの楽しみ方を見つけたって方も多いでしょうし、次のボカコレはクリエイターとして参加したいという方もいらっしゃるでしょう。次は4月。体を大切にして、また会いましょう!!!

 

最後に宣伝。ボカコレのおすすめ曲を集めたkiiteプレイリストを作りました。ぜひご活用下さい。

ボカコレ2021秋-1日目 - プレイリスト | Kiite

ボカコレ2021秋-2日目 - プレイリスト | Kiite

ボカコレ2021秋-3日目 - プレイリスト | Kiite

ボカコレ2021秋-4日目 - プレイリスト | Kiite

 

 

*1:実際にはボカコレに参戦していないオリジナル曲もあるのでもっと多いです

*2:他の時間に投稿された曲には自信が感じられないとかそういう訳ではないんですが、「きっちりボカコレに向けて曲と動画を作り込み予約投稿もばっちり、なんならライブ公開までしちゃうぞ」みたいな気迫を感じたんです。

*3:自分がクリックしたのもカウントされてしまうので意地でも自分のツイートのリンクは踏まないようにしている

*4:期間中約400回のクリックが僕の曲感想ツイートからありました。ありがたし。

*5:これには異議がある人がいそう...でもやっぱり初動が一番数字が出るし、ここでランキング上位に入れれば強い印象が何となくあるんですがいかがでしょう?

*6:ニコニコのノリがきついという方もいらっしゃるし、ニコニコの空気に追い出されてしまった方もいらっしゃるので...

*7:あとでちゃんと聴きました

*8:賢明なるボカロリスナー同志はイヤーカップ型のヘッドフォンを使用して欲しい

個人的に歌詞が好きなボカロ曲たち(歌詞を聴くことのススメ)

この記事はボカロリスナーアドベントカレンダー2020の12月8日分です。

この企画について、詳しくは主催obscure.(@voca6458)さんのnoteを参照して下さい。

 

note.com

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ボカロリスナーのみなさーん。

 

 

歌詞、聴いてますかー!!!

 

 

曲の聴き方は人それぞれだし、

俺は音楽だけに集中したいんだ!!!

「歌詞の意味など知らぬ、踊れれば何でもよい!!!!!!!!

って考えの人がいることも十分に理解しています(予防線)。

 

でも、もし仮に「音楽だけでも最高に好きな曲」の歌詞も好きになったら、その曲が二倍最高になると思いませんか????

(「その理屈だと歌詞が嫌いだった時最高度合いが0になるのでは?」とか言わない)

 

今回の記事では私的に好きな歌詞のその好きな部分をオタクっぽく熱く語ることで、みなさんにも「私も歌詞聴いてみようかな」と思っていただくことが目標です。

 

記事の趣旨に沿うため、今回の記事ではできる限り有名な曲だけを選曲し、できる限り難しい言葉を使わないように心がけました。...できる限りですが。

 

それでは行きましょー

 

 

1.曲の雰囲気とメッセージを上手く詰め込んだ歌詞。(いまのあと/ぽて)

 

 

ぽてさんはいいぞ。

 

失礼。開幕から飛ばしました。

ぽてさんはツイッター(ぽて (@pote_2low) | Twitter)のbio欄に

楽しい音楽作ります。

と書いてある通り、ユルくてかわいらしい曲を書く方で、実際この「いまのあと」もかわいらしい音が散りばめられたポップロックです。

 

しかし、纏う雰囲気とは裏腹に、この曲の歌詞は意外にも真面目かつ切実な悩みと願いを歌っています。

一部を抜き出してみましょう。

これで良かったって思う
ほんとに良かったのかな

(一番Bメロ)

「やっぱ夢みたいだった」
なんて思うから
あの頃の街も変わってしまうので

(二番Bメロ)

あの頃はよかったと思える
今が良かったと思いたい
今が良かったと思いたい 今で良かった
変わらない方がおかしい今で良かった
(ラスサビ)
(初音ミクwikiより引用 一部改変)

あの頃は良かった」と懐古しつつも、「じゃあ今はそんな酷いのか?」と悩み、最後には「これから先」に希望を持って「変わらない方がおかしい今で良かった」と歌い上げる...といった具合で、郷愁と今現在にかける決意とが交差した、これだけでも素晴らしい歌詞になっています。

 

しかし、この曲の(そしてぽてさんの)すごさはそれに留まりません。先ほども述べたポップで可愛い曲調とこのどこか寂しくて熱い歌詞、食い合わせの悪い二つの要素を見事にブレンドさせているのです。

 

先ほど飛ばした、1番Aメロ後半の歌詞を見てみましょう。

駅前の往来でみっつ数えたら
なんとなくだけど急いでみようかな

これはもう感覚の話になってしまうのですが、非常に「やわらかい」語彙の選択をいくつかしています。具体的にはスリーカウントを「みっつ数えたら」という少々幼い語り口にしてみたり、「なんとなくだけど~みようかな」とあいまいなニュアンスにしたりしています。

「なんとなくだけど~」の部分を、例えば「意味もなく、突然駆け出したくなった」などと言い換えてしまうと、なんだか切迫感が生まれてしまいますね。

 

ぽてさんはこうした語彙の幼稚化とトゲ取りを全編にわたって丁寧に行っています。

 

他にもサビのシリアスな歌詞の前には、共通して「なぞなぞだらけのだらけたこの日々で」という詩が挿入されています。

この部分も、ぽてさんは遊びの名前を比喩として使う、「だらけのだらけた」というユルめの韻を踏むなどし徹底的に角を落としています。

ここを「解らないことだらけで、気力もなく、ただ過ぎていく日々」と表現してしまうとダウナー成分が強く出てきて最近のNeruさんっぽい感じになってしまいますね。

 

ポップな曲調にダークな歌詞を載せる、という対位法的な手法自体は、たとえばボカロでは「ミルククラウン・オン・ソーネチカ(https://www.nicovideo.jp/watch/sm23404002)」などよく見るものではあります。

しかし、ここまでうまく混ぜていて、しかもその技巧を感じさせない曲は少なく、ぽてさんのセンスに脱帽するほかありません。

さらに、先ほど歌詞のキーワードとして「郷愁・懐古」を上げましたが、これがぽてさん流のこどものおもちゃみたいな音使いと相性が良く、「ただ明るい曲に暗い歌詞を乗せただけ」になっていないという点も、僕の好きなポイントになっています。

 

ぽてさんの曲ではほかに「なんかさ、」「放課後、教室のスーサイドさん」あたりも同じ」ような仕組みになっているので、ぜひ聴いていただきたいです。ぽてさんはいいぞ。

 

 

 

 

 

2.繰り返しを上手く使う歌詞(ヨヒラ/n-buna)

 とりあえずまず、歌詞の全文を見てもらいましょう。ドン。

 

夕暮れは彼岸花 夜は憂の色
さよならの呪文で
さぁ、君を忘れたのさ

夏影のかかるは紫陽花の縁
昨日の誠は今日の嘘
君だけを覚えてる

これでいいんだよ
なぁ、忘れたいんだよ
ただ昨日も明日も明後日も生涯息苦しいから
並に出来ないまま、人になれないまま
見えた君の影法師が胸を焦がしている

せきをする寂しさ ひとり、憂の色
夕暮れは静かだから
夏風の走るは想ひ出の街
夕暮れの静けさだけ

からす泣いて君もひとり
あの空を覚えてる

これでいいんだろ、なぁ
忘れたいんだろ? なぁ
自分が楽に生きたいから今日も逃げ続けたんだろ
並みにできないから 人になれないから
それが言い訳だろうと ほっといてくれよ

君だけを覚えてる(×5)

これでいいんだよ
なぁ、忘れたいんだよ
ただ昨日も明日も明後日も生涯息苦しいけど
並に出来ないから、人になれないから
君の想い出だけが見たい

忘れたいんだよ、忘れたいんだよ、これでいいんだよ、忘れたいんだよ、忘れたんだよ

これでいいんだよ、なぁ
忘れたいんだよ
ただ今も君の影法師が胸を焦がしたまま

 (初音ミクwikiより引用、一部改変・強調)

 

 聴いたり読んだりしていると、まず「忘れる」という言葉が尋常じゃなく出てくることと(全部で9回)に気付くと思います。さらに、1番の歌詞から察するに忘れる対象であろう「君」も歌詞に頻出(11回)していて、ついでに「忘れる」と正反対の「覚えてる」「思い出」「胸を焦がしている」(併せて11回)もバリバリ出てくる...とこう並べただけで「君のことを忘れられなくて辛い...」という内容だとわかります。

 それだけなら正直「いつものナブナじゃん」で済むんですが、特にこの曲を僕が好きな理由はその純度です。

 

 

ナブナ氏は活動スタイルとして、アルバム一つでストーリーを成し曲単体はその一部...という方式を選んでいます。

この方法をとることで、一曲一ストーリーよりも深い世界観を演出できますが、反面、アルバムのコンセプトを拾うための説明パート的な歌詞が必要になってしまいます。「無人駅」においては主人公が画家であることを示すために「画材」が出てきたり、アルバム「月を歩いている」収録曲は「童話」というモチーフに沿うための比喩が用意されていることがいい例でしょう。

こうしたコンセプトもまた曲の根幹となっていて、ナブナ氏らしい歌詞を作る要素となっていますが、それゆえに「もうここにいない君と、君を思い続ける主人公」という彼の曲ほぼすべてに共通するあらすじが若干ぼやけてしまっています。

 

それと比べて、ヨヒラのなんと純度の高いネチネチなこと!あじさいとヒガンバナという曲のモチーフ、それから文学パロこそ登場するものの、主人公の細かいデータや「君」のパーソナリティ、僕と君の関係それらすべてを排除し、主人公の執着に全集中した結果が、上で述べた同じ単語の繰り返され加減に現れているのです。

 

これだけだとただただ内容が薄いだけの歌詞なのですが、ナブナ氏はここである別の要素を入れることで単なる繰り返しを避けることに成功しています。

 

その要素とは何か、それはツンデレです。

 

そもそも、1番前半の歌詞、「君を忘れたのさ」から全力でツンデレです。「忘れた」と過去形のくせに、忘れた対象が「君」であると言っちゃってるあたり絶対忘れてない。なんなら同じ1番で「君だけを覚えてる」と白状しているし(君だけってあたりも非常にナブナ的)、サビでは「(君を)忘れたいんだよ」とどうして「君を忘れた」なんて嘘ついたかの動機まで自白しています。

2番では今度、「あの空を覚えてる」と言い換え、「わ、忘れらんないのは君じゃなくて君といた時の空だもん!!」とでも言いたげです。

しかし2番サビではそんな言い訳をした自分をなじるみたく展開し、サビ終わりには「「素直になれない自分」をなじる自分」に「ほっといてくれよ!!」と言い放つというなかなかのこじれっぷりを披露してくれます。かわいいね。

そしてラスサビ、「忘れたいんだよ」を三回繰り返したあと、「忘れたんだよ」と突然過去形になります。過去形になるのは一番以来ですが、ここでは単に嘘であるだけでなく、自分に言い聞かせているようなニュアンスも含まれていますね。「もう私はあんたのこと忘れたの!!終わり!!!!!!!」みたいな感じ。主人公、「君」のことを忘れられないせいで壊れてしまいました。「君」のせいです... あーあ

 

このように、「忘れられない」というだけでなく「忘れたいと思っている」ことにすることで、だんだん追い詰められていく主人公という経過が曲のストーリーとなって内容を増し、さらに「忘れたい」を繰り返すことで「忘れたいと思うほどに記憶に焼き付く」という、忘れたい黒歴史ほどよく記憶してしまうアレとして内容に説得力を持たせています。よってこの場合の繰り返しは、内容をペラくすることなく、むしろ内容を濃く太くする効果をもたらしているのです。すごい。

 

 

ところで、この歌詞の主人公、ナブナ氏本人に重なる箇所があるように思えます。前に述べたように、この「執着する主人公の話」は彼の曲の多くに共通した土台です。ともすればナブナ氏は「君に執着する話」に執着しているとも言えます。

すると「ヨヒラ」はナブナ氏が好きなシチュを純度高く詰め込んでいるだけでなく、ナブナ氏本人の話でもある、もはやナブナそのもの...というのは言い過ぎですが、それくらい濃いナブナ分で構成されているのです。

 

 

同じ言葉を繰り返すにも関わらず、実はすごくいろんなことが考えられる...僕がこの曲が好きなのは、そういったナブナ氏の構成力を感じられるところです。

 

 

3.ボカロにしか歌わせられない歌詞(愛言葉Ⅱ/DECO*27・砂の惑星/ハチ・ブレス・ユア・ブレス/和田たけあき・終点(COSMO@暴走P))


 

 

ボカロにしか歌えない、と来るとまず思い浮かべるのはメロディでしょう。無茶な早口・音高の上下が激しい・息継ぎがないなど。なるほどボカロにしかできないことは多いです。

では、ボカロ曲でしか聴けない歌詞とは何でしょうか?

 

 

中二っぽい歌詞はあくまでボカロっぽい(とされる)歌詞であり、人間の曲でもいくらでもあります。「くるみ☆ぽんちお」など卑猥な歌詞はなるほど聴く機会は少ないですが行くところに行けば存在します。

 

一つの答えとして挙げられるのは、人間関係をガン無視した曲ではないでしょうか。初音ミクが人間じゃないから、生きていないからこそ、ボカロPが初音ミクに提供できた曲というのは確かに存在するはずです。

今回は有名な曲の中から特にそう感じられる3曲を選んで紹介します。

 

 

一曲目の愛言葉Ⅱはアイドル感謝祭的なノリの歌詞なので一見問題なさげに見えます。男性が女性の気持ちを勝手に代弁して歌詞を書く...というのは例えば秋元康氏とか、中田ヤスタカ氏がよくやっています。

実際、愛言葉(無印)と愛言葉ⅢはミクwithDECO*27が視聴者への愛と感謝を伝える歌詞で間違いはないのですが、Ⅱだけは異様なことになっています。その部分を抜き出してみましょう。

3と9をかけると 27になるの
僕を何倍しても 君がいるよ
それだけでこの先 なんだって出来るから
どこへだって行こう 君を連れて 歌を唄って

3と9はもちろんミクのことだし、27はDECOさんのことでしょう。「どこへだって行こう~」の部分から考えるに、主語は歌っているミクさん...と考えるとこの歌詞、「DECOさんが勝手に「ミクさんからDECOさんへの感謝の気持ち」を類推して歌わせている」ことになります。ヤバいですね

 

いくらラブソングの気持ち悪さに定評がある(誉め言葉)野田洋次郎氏でも、女性への提供曲で「野田洋次郎大好き」とは歌わせないし、歌わせたらセクハラ扱いされそうです。

 

無論、ミクさんとDECOさんの間には5年分(当時)の信頼がありますし、実際にはミクさん嫌な顔一つせずに歌っているので問題はないでしょうが、現実の人間にはなかなか提供できない類の歌詞には違いないでしょう。

 

 

二・三・四曲目は言うまでもないですね。「砂の惑星」は「てめぇはもうオワコンなんだよすっこんでろ」的な歌詞をよりによって本人に歌わせる酷い内容ですし、「ブレス・ユア・ブレス」「終点」は三行半をこちらも本人に歌わせる始末です。もはやパワハラまがいですね。

しかも前半二曲は本人のライブのための書き下ろし曲で、「終点」はアルバムへの書き下ろし曲という晴れ舞台をどうしてくれるんだ的な意味でも酷い歌詞です。こんなのを実在の人間に同じことしてみた日には喧嘩と絶交間違いなしですね(そして歌ってくれないから実現しない曲になることでしょう)。

 

後半二曲の三行半は解散直前のバンドでやりそうな気がしなくもないですが、「ボーカルがバンドメンバーに喧嘩を売る替え歌をする」ことはあってもボーカルが自らを攻撃する歌詞を歌わないでしょう。やはりこの歌詞はボカロ特有ではないでしょうか。

 

このようなボカロ特有の歌詞を聴くと、曲の好き嫌いとは別に「ああ...ボカロ曲聴いてんな...」っていう気分に自分はなります。

他にも「この視点から歌えるのはボカロだけだな...」とか「これを人間が歌うとクドいな...」など人間の感情が邪魔になりそうな歌詞は、たくさんあります。「そういうの好きかも!!」と思っていただけたのなら、ぜひ探してみてください。

 

 

4.ボカロP本人の変化を感じられる歌詞(Henceforth/orangestar)


 

「Henceforth」は、orangestar氏の2年9か月振りの復帰作であり、ファン待望の曲でした。

シンプルなピアノのコード弾きから始まるイントロも、サビのシンセも、シンプルな伴奏も「ああ...オレスタさんだな...」と安心するくらい曲は変わりなく、いつもの彼らしい曲です。

 

 

しかし、彼の変わりようは歌詞の方に表れていました。

 

 

この変化をわかっていただくために、まず長い前置きとして彼の活動遍歴を追っていきます。

 

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活動初期のOrangestar氏は、驚くほどネットと現実を分けずに活動していました。

例えば「午前四時半」は、彼のリア友と思しき人に当てた曲であり、動画のキャプションからもその親しい空気感が伝わってきます。

そのほかでも、彼は自らの地元の写真をスライドショーにして曲を投稿していたり、初めてのアルバムを地元で手配りしようとしていたりなどとこちらが少々不安になるレベルで身内ネタを組み込んでいました。

 

この時期には「ヴァーミンキラー」「二次元の女の子に恋をしてしまって辛い…w(削除済み)」などフィクションのほぼ混ざらない日記のような歌詞であったり、「真夏と少年の天ノ川戦争」「夏色アンサー」等彼が好きなアニメ作品に強く影響されただろう物語調の強い作品を作っていたりします。

 

こうした身内感やOrangestar氏本人の肉体感のこもった歌詞は徐々に失われていき、「アスノヨゾラ哨戒班*1の頃には、「将来への不安と期待を歌う」「夏曲」「「僕ら・僕たちを使いがち」「「君」へのエール」「別れの歌」といった処女作からの作風に一本化していきます。

 

作風の一つとして挙げた「将来への不安と希望」の比率は曲によって変わりますが、動画として投稿している曲はラスサビで力強く「希望」を歌う曲が多く、アルバム限定曲には「不安」を中心に歌った曲が多い傾向にあります(当初アルバム限定曲であった「Uz」と同じアルバムからMVが投稿された「DAYBREAK FRONTLINE」の違い、というと分かりやすいかもしれません)。

 

...とここまでが彼の変遷でした。

 

本当はアスノヨゾラ以降の全曲を紹介して彼が描いてきた「別れ」と「将来」の話をしたいところなのですが、長くなりすぎるので、ここからは「Henceforth」と過去曲を適宜比較して空白の二年で彼がいかに変化したのかについて書いていきます。(やっとHenceforthの話ができる...)

 

さて冒頭からです。

あぁ 君はもういないから
私は一人歩いている
あぁ 腐るよりいいから
行くあてもなく歩いている

ここからもうすでに「アスノヨゾラ哨戒班」と比較できる歌詞ですね。アスノヨゾラ2番Bメロでは

君がいてもいなくても翔べるなんて妄想
独りじゃ歩くことさえ僕はしないまま

と歌っていて、あの頃「一人じゃ歩けなかった」彼ではないことがわかります。

「空奏列車」や「DAYBREAK FRONTLINE」 の歌詞では未来に向かって突き進む描写がありますが、これら歌詞の中では「君」とまだ分かれる前ですし、「明日から頑張るぞ!!」という決意表明のように響きます。

さらに、お別れソングである「快晴」ではサビ前にて

あがいていたって空は星を降らすから
まぁ、生きていくよ

若干投げやり気味に自らの今後を語っていて「それで送りだされるのめっちゃ不安だが??」と言いたくなるような詩になってしまっています。

しかしここの歌詞では、別れの後でも(目標は見失っているようですが)着実に前へ進んでいる印象になっています。ここだけでもだいぶ変わったね...と言いたくなりますね(謎目線)。

 

この後の歌詞は

あぁ これからはそうだな
何も求めずに生きていく
あぁ お金よりいいでしょ
これで何も失わないね
あぁ! 泣くな空、心配ない!
終わりのない夜はないね
あぁ 闇はただ純粋で
恐れてしまう私が弱いだけ

 

 と一瞬再びの投げやり展望が顔を出しますが、こちらの不安を見越したかのように「終わりない夜はない」「恐れてしまう私が弱いだけ」と決意を新たにしています。

 

サビへ行きましょう。

仕方なくもう一回
変わらぬ今日を征くんだよ
何度でも 

 ここも過去作と比較できる曲があります。

 

「DAYBREAK FRONTLINE」では「何も変わらない笑えない日々を 抜け出そうぜ君を連れ飛び出した」

CITRUS」では「昨日も今日も同じような色に嫌気差した きっと あの向こうに待つのも 変わらぬ色の未来だ なんて」

「空奏列車」では「わかってんだって こんな夢の無い ダイヤグラムで 世界はもう
決まりに切って 疲れるわ」

シンクロナイザー」では「同じ景象に参っている」...

こんな具合で彼の曲には「ルーティン」を嫌う歌詞が何度も登場し「それを打破したい」などと歌ってきました。

 

ところが、Henceforthでは「仕方なく」と言いつつも「何度でも変わらぬ今日を征くんだ」と前向きに歌いきっていて、さらにラスサビでは「仕方なく」が「諦めず」に変わり、決意が感じられます。(2ndアルバム収録の「八十八鍵の宇宙」でもすでに「繰り返しの毎日でも 何か残せたなら」とルーティンに希望を見出していますが、ルーティンに果敢に挑む歌詞にはまだなっていないように思えます。ここは解釈が分かれそうですが...)

 

そしてサビ頭

あぁ! 夏を今もう一回
君がいなくても笑って迎えるから

ここは過去曲すべてとの対比、というよりも「快晴」との比較が強い部分です。

さきほどちょっと触れましたが、「快晴」では「君は笑っていて」とは歌い、「二度と帰れなくても それは美しい 僕らだけの夏だったろう」と思い出は歌うものの、主人公がこれからどうするかの部分について「生きていく」としか言っていません。

それがこのただいまソングでは「君がいなくても 笑って迎えるから」と歌っており、これからの展望が少しついたように感じます。

 

このように見てみると、Henceforthでは実際に2年間の別れた期間を経て、全体的に足が地に着いた印象を持ちます。「僕ら・僕たち」はこの曲に一度も登場せず、自らの話のみをしていることも、落ち着いた印象になる理由の一つかもしれません。

 

それでいて「「君はその夢をもう一回」」と「君」へのエールを送るところは変わりなく、夏曲であることも昔のままですし、「読み返しても嘘はないから」と身内成分マシマシだった時代からの曲も踏まえて自分がいると歌っているのです。エモい。

 

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このように「作者の変化」を意識して歌詞を聴くことは自分もほぼ無く、この作品が「復帰作」であったからこそそこに注目したところがあります。言ってみれば、この曲は自分に今までなかった視点からの歌詞の読み方を教えてくれた曲で、私が好きなのは、そういった事情があります。

歌詞を読めば、新鮮な視点で曲を聴けるようになるかもしれない。みなさん、歌詞、読みましょう。

 

5.終わりに

遅刻しました。申し訳ないです。

主因は途中で自分と解釈違いを起こしたせいです。そのせいで書いてた文章半分吹き飛んだ。哀しい。

この記事で書きたかったことは正直書ききれていないし、乱文で読みにくいし、とにかくボロボロですがとにかく投稿できてよかったです。

そしてこんな文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

 

*1:この曲も「午前四時半」の動画説明欄にある「第107統合戦闘航空団夜間哨戒班」という恐らく友人内のサークル(?)へ向けた作品であると思われる。参考:https://twitter.com/MikanseiP/status/501673920726970371?s=20